鮪【まぐろ】
本日のお魚は「鮪(まぐろ)」
鮪(まぐろ)
江戸前寿司と鮪の物語
江戸時代では
江戸近海でとれた大量のクロマグロを「づけ(醤油漬け)」にして
寿司として握った物が
江戸前寿司でのまぐろの使い始めだと言われています
当時は鮪は獲れにとれ、価値が薄い「下魚」として扱われていたようです
明治・大正・昭和時代には相変わらず下魚として扱われ続けてきました
当時は「トロ」のうまさは全く評価されず
赤身だけが「づけ」として使用されていたようです
第2次世界大戦前に、少しながら鮪の評価は上がってきたとはいえ
当時の人々にはまだまだ
中級の魚程度の認識でした(うらやましい)
戦後におおきな嗜好の変化が現れた
第二次世界大戦後
当時の日本はとてもまずしく、食生活に大きな変化をもたらしました
戦後まもなく
鮪の「トロ」に対する人気は爆発的になってきました
しかし当時の魚屋は
「なんでトロなんかが人気なのか??」
ととても疑心暗鬼だったようです
ところが、昭和30年代にはその人気は確かな物となり
人気とともに値段も上がっていきます
ミナミマグロ漁が本格化する
昭和37年
日本ではミナミマグロの漁が本格的に始まりました
そして「東京オリンピック」と日本の経済成長に合わせるように
トロの人気はますます強くなっていき
鮪の漁獲量減少も伴い
鮪の超高級化が始まっていきました
トロの人気は、漁獲と流通のための「マイナス60℃の超低温冷凍技術」
の開発をもたらし
脂をのせるための「畜養」
養殖鮪の研究
遠距離からの迅速な流通のためのトラック等物流技術
空輸便による流通革命さえ起こしていきました
これらの技術発展により、日本の鮪との関係が大きく変化していきました
今、私たちが美味しい鮪を食べられている背景には
日本人の鮪に対する熱い想い
創意工夫
変化の歴史がすべて詰まっていると言っても過言ではないんですよ
現在の「鮪」事情
現在の日本では寿司ネタとして1位を争っているのは
「鮪」と「サーモン」といっても過言ではないですよね
ちなみに、お寿司屋さんの1ヶ月の鮪の仕入れ総額は
魚の全仕入れ総額の約半分を占めていると言われています
だからこそ「鮪」は寿司屋にとって
とてもとても重要な魚であると言うことがわかりますよね
鮪をみれば、その寿司屋の姿勢
うまさの考え方
店のレベルまで、すべてがわかってしまうとも言えます
しかし、鮪人気に比例して
鮪の漁獲量は年々減少しています
鮪漁獲量の減少
1970年代から徐々に減少してきた国産近海クロマグロの漁獲量は
昭和・平成時代に顕著に現れ
令和のこれからの時代も減少の速度を速めていく物だと思われます
この状況は相場をも上昇させ
1本の鮪で1億円以上の狂気とも言える値段を付けています(よっ、すし○○まい!)
https://www.aptinet.jp/Detail_display_00003868.html
この漁獲量の減少と、価格の暴騰は
日本近海以外の世界各国からの輸入をもたらしました
世界各国から輸入される鮪
日本にはいまや世界各国から鮪が輸入されてきます
カナダやボストン、地中海からの空輸による冷凍していない生鮮まぐろ
ニューヨーク沖の冷凍ミナミマグロ
アイルランドの冷凍クロマグロ
これらの「生」と「冷凍」まぐろは
新しい鮪の評価問題を提起するようになりました
また、ボストンで始まり、地中海で本格化された「畜養鮪」
(畜養:天然の鮪の赤ちゃん獲り、人間の手で育てて大きくすること)
日本近海・沖縄・オーストラリアでの養殖鮪
http://www.nissui.co.jp/product/kitsuna/index.html
などの出現により
クロマグロの世界はより複雑になってきています
なにが良いのかを見極める
ではこれほどまでに複雑になった鮪の世界で
「良い」まぐろを手に入れるにはどうしていけば良いのか
これにはどこに価値観を置くのかが重要になってくるが
やはり「おいしさ」が一番だと思います
そこで、魚屋や寿司屋では
生鮮・冷凍・畜養・養殖の
それぞれの旨さ、経済上の利点・欠点
などの情報をしっかりと理解し
その識別と区別を持って扱わなければならないです
鮪の課題
ここまでの人気を持つ鮪
そして魚屋や寿司屋にとって最も重要な鮪とは
どんな魚であるのでしょうか
そして、高級寿司屋が本気でほしがる生鮮のクロマグロ(本マグロ)とは
どんな魚であるのでしょうか
また、生鮮の鮪に対して、冷凍の鮪は
どのように評価され、どのような位置関係にあるのか
畜養・養殖の鮪の旨さはどうやって評価されるのか
漁獲規制と資源保護の関係はどのようになっているのか
次回はこれらの「魚の種類」「課題」に関してまとめていきます
ではまた